投稿日: Sep 21, 2009 12:51:24 PM
「わたしは山にむかって目をあげる。
わが助けは、どこから来るであろうか。
わが助けは、天と地を造られた主から来る。」(詩篇121:1,2)
僕はこの聖句が好きです。この聖句をテーマにした賛美歌301番がとても好きだからです。そしてその賛美歌は、父のことを思い出させてくれるのです。と言っても、僕が実家から出ているだけで父は今も元気です。
父はハンドバッグを作る職人で、僕は小さい頃から両親が家の中で働く姿を見てきました。父は仕事をしながらよく賛美歌をくちづさむのですが、この301番は父の歌で覚えてしまった讃美歌です。ある日父が言いました。「お父さんはこの賛美歌が大好きなんだ。心が休まるというか、神様にお任せすればいいんだという気持ちになるから、辛いこと苦しいことがあると自然とこの歌が出てくるんだ。」
父の飾らない歌声は父の信仰の姿そのものだと思います。家の中にいながら、~♪やまべにむかいてわれ♪ と歌うその声は、実際に山々を目前にしているかのように響いてきます。目は手先を見、手は器用に動いていても、心の中は神様に謙虚に向かっているのでしょう。301番に触れる度に、僕はそんな父の姿を思い出し、父の声が頭の奥に響いてくるのです。
最近一人でいると、ふとその賛美歌をくちづさんでいる自分に気付くことがあります。少々照れくさいような、それでいて少しだけ父の信仰に近づけたようで嬉しいような、そんな気持ちになります。そして、不思議とへりくだった、安らかな気持ちになれるのです。(「三育はこぶね」77号 渡部正道先生記)